3月の初めから長引くカゼに、体調は万全でありません。定年退職前にビワイチを企図するも、予定日直前まで逡巡していました。
天気予報は晴れ。移動性の高気圧に覆われ季節風も時雨もなく、低い気温の外は絶好のコンディションです。懸案の“ビワイチ”、敢行します。
ビワイチにあたって『奥琵琶湖パークウェイ』はコースに含めたいので、必然的に“時計回り”です。交通量の少ない早朝に大津の市街を抜けたいので、出発地は瀬田の唐橋周辺とします。
自宅からクルマ、京滋バイパスの石山ICを出たところで最寄りの駐車場を探すと、矢橋帰帆島が目に留まりました。ここを起点に琵琶湖を1周します。
未明に自宅を出発して、一路琵琶湖へ。
スタート地点 矢橋帰帆島の駐車場
矢橋帰帆島の駐車場は、ほぼ満車。夜明け前なら停めているクルマもないだろう…という目論見は見事に外れました。駐車の主は、釣りが目的のようです。
クーペの後席に積んだロードバイクの出し入れは、そう容易でありません。さらに、端の駐車スペースに停められなかったので、隣のクルマには特に気を使いました。
5時50分、夜明けとともに出発。この日の明け方の気温は、大津で1℃未満。冬用ジャージとTシャツ、(冬用でないロングの)レーパン、(指切り)グローブ、冷えます。さらにサングラスを忘れて、ぼろぼろ涙目です。
ビワイチ時計回りは交差点の随所で2段階右折になります。その最初が瀬田の唐橋。横断歩道を押し歩きで渡ります。
瀬田の唐橋 ビワイチの起点
沿道から仰ぎ見る比良の山並み。清々しい気分に、愚図つくカゼはどこへやら。
早朝の近江大橋西詰
早朝の大津市街、県道18号線を快調に走り抜けます。閑散とした交通量と相まって道路端に駐停車するクルマもわずかで、追い越しは楽かつ安全です。
なぎさ公園に寄り道。朝靄の景色。遠くに近江富士(三上山)、琵琶湖大橋。
朝靄の景色 なぎさ公園
“ビワイチ サイクリングマップ”の案内図では、国道161号線と県道558号線の交通混雑区間を避けるように、JR湖西線に沿ってルートが引かれていますが、大津から北小松まで西近江路の車道を走ります。
さすがビワイチ、どこまでも続く平坦路。序盤から時速30キロで快調に疾走できます。
西近江路の麓 JR湖西線比良駅
ビワイチ道中、随所にコンビニと自販機があるので、補給食の携行はカロリーメイト(6パック)とペットボトル(1本)だけ。
スタートして2時間、そろそろ休憩の頃合い。沿道にコンビニ(セブンイレブン近江志賀北小松店)を見つけ立ち寄ります。
7時50分から6分の休憩。トイレを借り、ウイダーinゼリー(エネルギー)を買って、カロリーメイト(1パック)と共に補給。
コースに復帰して湖岸沿いの道をしばらく進むと湖中鳥居が見えてきました。
白鬚神社で8時9分から15分の休憩、神社にお賽銭、旅の安全を祈願。カロリーメイト(1パック)で補給。
正面の湖中鳥居は国道を挟んで向かいにあります。交通量はまだ多くなく、両行ハイ・スピードで通過するクルマを見切っても、道路横断は危なそう。ガードレールの合間に横断を遮るポールが渡してありました。
白鬚神社の湖中鳥居
高島市の広い平野に入り、湖周道路に沿って進むと松並木の道がしばらく続きます。樹林の合間から湖畔の浜辺が見えるので少し立ち寄ってみます。
木陰の落葉を踏みしめ明るい砂浜に出ると、朝の陽光に青く映える湖水が遠く水平線まで広がっています。次々に波寄せる海辺と違って、静かに湖水を湛えています。
青松白浜 波静か
まだまだ続く湖周道路、安曇川(北流)を渡ると、太田浜から角野浜まで延々と桜並木。心地よく走りやすい道、好きなだけスピードを上げて疾走します。
湖周道路をそのまま北上、国道161号線高島バイパスと並行する箇所で、湖面にえり漁が見えます。
桜並木の湖周道路
沿道から湖面のえり漁を見る 彼方に竹生島
湖周道路(県道333・54号線)をそのまま北上しましたが、先を急がず、近江今津の近辺から一つ湖岸寄りのサイクリング道を進めば、松並木の続く道が楽しめました。分岐を見過ごし不案内でした。
湖周道路から知内川の堤防沿いに下って、マキノ湖のテラスへ向かいます。サイクリング道の知内川に架かる橋は工事通行止めでした。湖岸寄りの吊橋に迂回。
マキノ湖のテラス 波静か
マキノ湖のテラスには先客のローディーがいました。軽く会釈して浜辺のベンチで休憩、カロリーメイト(1パック)とペットボトル(半分)で補給を済ませます。9時37分から13分の休憩。他に客人は一人、静かな湖畔です。
湖北まで来ると、三々五々すれ違うローディーも多くなります。
桜並木で観光客を集める海津大崎は、昨年4月の土砂崩れで12月まで通行規制が続いたところです。
海津大崎のトンネル 土砂崩れ復旧
土砂崩れのあった箇所はトンネルを挟んで交互通行。シーズン・オフで待ち時間はほんの僅か。桜のシーズン中は大渋滞?
丁字の大浦交差点から菅浦、奥琵琶湖パークウェイに向かうと、沿道に「通行可」の表示。冬期通行止めでオープンがいつになるか?判然としなかったので、嬉しい限り。
湖岸の道はクルマの往来も少なく、深く入り込んだ奥琵琶湖の内浦が秘境の雰囲気。
菅浦 奥琵琶湖パークウェイの入口
桜並木の上り坂
菅浦は奥琵琶湖パークウェイの入口。ここからビワイチ(時計回り)随一のプチ・ヒルクライム。
傾斜の緩やかな、2車線の良く整備された道を200m上ります。
上り途中でサイクルコンピュータにアラート、“充電してください(チェックマーク)”が表示。満充電でスタートして4時間50分で無くなりかけています。
お楽しみヒルクライム途中ですがすぐ停まって、モバイル・バッテリーから充電開始。走行記録が途切れることはなくなりました。
1分の作業を挟んで、20分でつづら尾崎売店に到着しました。
脚に負担は感じなくて、乙女ギアのリア・スプロケットは6枚残しました。
つづら尾崎売店
駐車場にはクルマ5台とオートバイ6台、閑散としています。ロードバイクは私だけ。
展望台からビワイチ湖岸を俯瞰する眺め。対岸の山本山、湖北の平野。遠く伊吹山、霞彼方に鈴鹿の山並み。
つづら尾崎展望台の眺望
ビワイチの総走行距離的には半分に少し満たないところですが、売店できつねうどんの昼食、待ち時間でカロリーメイト(1パック)の補給、10時52分から27分休憩しました。
展望台からの見晴しのよさで、気分的には上りきった感がありますが、つづら尾崎売店から先も上り道が残っています。
月出峠に向かう沿道からも木々の合間に展望が開けます。このあたり、ビワイチで見晴し最上の景観ではないでしょうか。
スタートから5時間40分、この奥琵琶湖パークウェイ途上で走行距離100キロに達しました。残り半分、日暮れまでにはゴールできそう。
奥美濃の銀嶺
奥琵琶湖の眺望
ずいぶん昔、マイカーで奥琵琶湖パークウェイを来た頃は有料道路(700円)、(現在は自転車も進入できない)岩熊から入りました。今は無料開放、一方通行の道を下ります。
カーブで転落しないようスピードは抑えていますが、さらに内側に寄って後続のクルマ・バイクを先行させます。
下りの終盤は速度超過を注意する路面標示の凹凸に揺さぶられて、走り心地はよくありません。
一方通行の下り路
ビワイチの休憩ポイント“道の駅”塩津海道あぢかまの里には寄らず、国道8号線を進みました。藤ヶ崎へのルート分岐を見過ごし、気づけば藤ヶ崎トンネルが目の前。このトンネル内の自歩道は、時計回り側で幅広く楽に通行できました。
賤ヶ岳隧道への上り道も楽々です。
賤ヶ岳隧道
お約束の撮影ポイント
山本山の麓、片山トンネルは路側帯の幅わずか、交通量も多くなってきたので、無理せず歩道に入りました。
奥びわスポーツの森が目に留まり立ち寄ってみると、池の畔にベンチがあって休憩に好適。
伊吹山を眺めながらカロリーメイト(1パック)とペットボトル(半分)で補給を済ませ、自販機でペットボトルを補充。12時43分から11分休憩。
奥びわスポーツの森
長浜城・豊公園周辺では交差点の信号でゴー・ストップを繰り返し少しうんざり。しばらく進んで交差点でストップ。後ろを振り返るとビワイチらしい素敵な景色。横断歩道を渡って(反時計回りふうに)写真を撮りました。
午後の陽光に青く映える湖水と彼方の銀嶺
ビワイチ時計回りのローディーを見かけません。スタート地点と時刻が違えば互いに遭わなくて当然ですが、このビワイチでは湖東の湖岸道路で一人追い抜かれました。後を追ってスピード・アップできるほどの脚力はないので、ゆっくり見送ります。
湖岸道路 長命寺山を目指す
湖を渡る西よりの強い横風が時折あって、路側帯の白線上からよろけそうになります。が、風に押されても歩道側への横ぶれなので、追い抜かれるクルマに対しては安全寄りです。
長命寺山麓の巻道に入る手前でコンビニ(FamilyMart近江八幡白王町店)休憩。店先にバイク・スタンドとテーブルとイスを設えて便宜を図ってくれています。多くのサイクリストに利用されているのか、イスの座面の多くは潰れていました。
コンビニで買い求めたウイダーinゼリーと、カロリーメイト(1パック)、ペットボトル(半分)で補給を済ませました。カロリーメイト(4パック)を追加購入しましたが、結局食べず仕舞いでした。14時32分から18分の休憩。
ここから平坦な湖周道路を快走してもいいのですが、時間と体力に余裕があるので長命寺山の巻道を行きます。木々に遮られて湖岸の景観はあまり望めないのですが、車道を淡々と走ってきた後で気分転換になりました。
長命寺山麓湖岸の巻道
鮎家の郷に鯉のぼり。風を受けよく泳いでいます。ビワイチ中盤、追い風に助けられました。
鮎家の郷 鯉のぼり
一人ロードバイクで路側帯の白線を踏んで車道を走っている分には、傍らを過ぎる大型車も危な気なさそうです。後方から接近する大型車の音を聞いていて、その雰囲気は感じられます。
後方のクルマが追い抜きをためらっている気配を感じ、すっと歩道に入ってみると、道路幅員一杯に追い抜いて行ったのはカー・キャリアのセミトレーラーだったりします。
琵琶湖大橋の分岐を過ぎ南湖回りに入ると、ゴールはもうすぐ。
しかし、このまま安逸に終わらせてくれないところがビワイチの醍醐味(?)。ここからが正念場でした。
琵琶湖大橋
待っていたのは強い向かい風。北湖回りは時速30キロ前後で快調に走れましたが、いまや時速20キロで脚の負担感一杯です。
後日、気象庁のWebサイトでその日の風向・風速の気象データをみて、納得。
向かい風の湖岸緑地さざなみ街道
対岸に大津の市街が見えてくるとゴール間近。向かい風で体力を消耗し、右脚の膝裏も少し痛みを感じてきたので、帰帆北橋は自歩道に入ってゆるゆると進みました。
帰帆北橋を渡り矢橋帰帆島に帰着
矢橋帰帆島の駐車場は相変わらず満車です。マイカーは両隣のクルマに挟まれています。隙間をくぐり抜けるようにロードバイクを出し入れするスキルは確実に向上しました。
矢橋帰帆島の駐車場に帰着して帰り支度していると、ここに同じくクルマを停めていたローディーが帰ってきました。
日暮れまで少し余裕があるので、残しておいた菓子パンを頬張りながら、ゆっくり休憩しました。
ロードバイクを後席に積み込む
日暮れ近く、クルマで帰路につきました。瀬田の唐橋に向かう途中でも、ビワイチ(反時計回り)らしきローディーを散見しました。“がんばって”と心でエールを送ります。
摂取した総カロリーは概算2160Kcal。(カロリーメイト6パック、ウイダーinゼリー2パック、きつねうどん1杯、アクエリアスペットボトル1.5本)
時間が惜しくて、まとまった食事を摂らなかったのですが、ビワイチを走りきるカロリーは足りたようです。
お天気に恵まれたこと、時速30キロでも軽快に走れたこと、時計回りで景色が存分に楽しめたこと、日暮れ前までにゴールできたこと、初めてのビワイチで十分な成果を得ました。
この日の記録は、走行距離202km(10時間51分/うち休憩1時間30分)、平均速度23.5km/h。