どうする？　アンテナ

第3級アマチュア無線の免許取得を機に、無線機を購入しました。

HF帯で新たにCWを始めようと、その準備にいろいろ工作します。

自宅は共同住宅の2階部分なので、アンテナの設置は難題です。アンテナをベランダの外へ出すわけにいかず、必然的にベランダの内側でアンテナを造作します。

うまい具合に、ベランダの両端に天吊りのエアコン室外機があり、その固定アングルをベースに金具を組み合わせアンテナ・ステーを（左右それぞれ）取り付けます。そこに（支間）8メートルのロング・ワイヤーを渡せば、アンテナが出来上がります。
現状、鉄筋コンクリート造の建物本体からいくらも離れていないので、電波の飛び具合は期待できませんが、そこは妥協です。

ベランダのルーフ際で脚立に乗ったDIY作業、地上に転落しないよう安全帯を装着し、落下物に細心の注意を払いました。

まず、ダイポール・アンテナ。接地が要らず、BALUN（バラン）に同軸ケーブルをつなぐだけで済みそうと、先にメーカー製の広帯域バランを調達しました。
しかしながら、アンテナの給電点の地上高さなど諸々の要因で、理想的に整合するには程遠い状況です。

ロング・ワイヤーのアンテナ長を活かすなら、無線機と連動するアンテナ・チューナーを別途用意すれば、（マルチバンドも）整合させるのは簡便・確実（そう）です。
ですが、アンテナ・チューナーには接地が要るので、（接地替わりに）カウンターポイズの配線を何本もベランダに這わせるか、室外機固定アングルの埋め込みボルトにつなぐか、で上手くいくかはやってみないとわかりません。

海外のアマチュア無線家のYouTube動画をいくつか見る中で、小型のZeppライクなワイヤーアンテナが目に留まりました。移動運用のマルチバンドで、無線機内蔵のアンテナチューナーでよく整合しているようです。その作例を参考にバランを自作してアンテナに接続し、手持ちの測定器で測ってみましたが、期待したほどSWRが下がりません。アンテナの設置環境の違いと、そもそもロング・ワイヤーの長さが作例より足りない為と思われます。

ガッカリついでにダメもとで、広帯域バランに代えて同様にSWRを測ってみると、自作バランよりは低い値を示しました。受信だけなら適当に、あとは無線機内蔵のアンテナチューナーでなんとかする（なる？）。

ワイヤーアンテナ・ステー（給電側）
（マウスオンでロールオーバー）

ワイヤーアンテナはターンバックル留め

とりあえず、自作バランを解体してコモンモードチョークを再利用し、ベランダのアンテナから室内の無線機まで同軸ケーブルを引き込みました。

受信は感度良好です。送信で無線機内蔵のアンテナチューナーで強制チューニングをかけてみると、整合したのは50MHz帯だけでした。

（内蔵）アンテナチューナーを介しても、マルチバンドで運用するのは程遠い現状です。ロング・ワイヤーアンテナ（とバラン）自体、もう少し工夫が要りそうです。

令和5年（2023年）6月30日（金）

とりあえず（簡便に）、ワイヤーアンテナの末端に備えておいたギボシ端子で、少し長め（3.8ｍ）のコードを連結して延長します。

屋外のアンテナ直下で測定すると、測定器（nano VNA）の画面キャプチャ（写真撮り）が難儀です。

なので、アンテナに接続する広帯域バランから同軸ケーブルとコモンモードチョークまではそのままに、屋内で測定しました。

当節流行の“nano VNA”を手に取って測定してみると、アンテナの整合が視覚化されて興味深いです。

アマチュアバンドを含む1MHzから60MHzまでの帯域を観察すると、SWR（この画面キャプチャでは黄色の線）の値が1近くまで落ちるところが3箇所ありました。

7MHz帯（とそれ以下）は、無線機内蔵のアンテナチューナーでは整合無理っぽい様子です。

1.0MHzから10MHz
7.0MHzでSWR24

8.0MHzから16MHz
12.32MHzでSWR1.0

（第2級アマチュア以上でないと電波が出せないバンドですが）10MHz帯・14MHz帯の間に、SWRの落ち込み（12.32MHzでSWR1.0）が見られます。

18MHz帯・21MHz帯は、内蔵アンテナチューナーで整合無理っぽい様子。

16MHzから22MHz
18.10MHzでSWR13

22MHzから26MHz
24.90MHzでSWR19

24MHz帯も同様、内蔵アンテナチューナーで整合無理っぽい様子。

28MHz帯の近くで、SWRの落ち込み（27.10MHzでSWR1.1）が見られます。

26MHzから30MHz
27.10MHzでSWR1.1

48MHzから56MHz
50.08MHzでSWR1.0

50MHz帯で、バンド内に広くSWRの落ち込み（50.08MHzでSWR1.0）が見られます。内蔵アンテナチューナーで整合したのも頷けます。

国内CWの賑わう7MHz帯は何とか整合させたいものです。高周波の電磁気についてはアマチュア無線免許証なりの知識しかありませんが、いろいろ試してみたいと思います。

令和5年（2023年）7月16日（日）

自作バランを作成するつもりで調達したまま、未使用のΦ2mm×10ｍのエナメル線があります。

これでトロイダルコイルを作り、ローディングコイルよろしくワイヤーアンテナにつないでみます。

直径9㎝～10㎝×35ターンのエナメル巻き線を解きほぐしただけのもので、コイルの設計は無し。

試しに、トロイダルコイル単体をワイヤーアンテナと同じ様に測定してみると、アンテナのようにSWRが下がる様子が見て取れ、面白い。

トロイダルコイルは、丸い網カゴに収めて結束バンドで留めました。

これを天吊りの室外機の下にぶら下げ、延長アンテナ線の途中でギボシ端子を介して接続しました。

トロイダルコイルを付加したアンテナのSWRを、前回と同様（広帯域バランで）に測ってみます。

アマチュアバンドを含む1MHzから60MHzまでの帯域を観察すると、SWR（この画面キャプチャでは黄色の線）の値が1近くまで落ちるところが4箇所ありました。

7MHz帯（とそれ以下）は、無線機内蔵のアンテナチューナーでは整合無理っぽい様子です。ただ、レジスタンス（水色の線）とインダクタンス（紫色の線）が新たに興味深いカーブを描いています。

1.0MHzから10MHz
3.52MHzでSWR7.0　7.03MHzでSWR13.4

8.0MHzから16MHz
12.24MHzでSWR1.0　15.76MHzでSWR1.3

10MHz帯・14MHz帯の近くで、SWRの落ち込み（12.24MHzでSWR1.0　15.76MHzでSWR1.3）が見られます。

また、18MHz帯でSWRの落ち込み（18.13MHzでSWR1.8）が見られます。
21MHz帯は、内蔵アンテナチューナーで整合無理っぽい様子。

16MHzから22MHz
18.13MHzでSWR1.8

22MHzから26MHz
23.7MHzでSWR1.3

24MHz帯の近くで、SWRの落ち込み（23.7MHzでSWR1.3）が見られます。

28MHz帯は、内蔵アンテナチューナーで整合無理っぽい様子。

26MHzから30MHz
28.2MHzでSWR10.4

48MHzから56MHz
49.56MHzでSWR1.1

50MHz帯の近くで、バンド内に広くSWRの落ち込み（49.56MHzでSWR1.1）が見られます。

令和5年（2023年）8月3日（木）

アンテナ線とトロイダルコイルの線の長さの合計は20ｍ余りあります。

・・・と、思いつき（だけで）作例に倣って49：1UNUNを自作しました。

広帯域バランを自作UNUNに取り換え、アンテナのSWRを前回と同様に測ってみます。

アマチュアバンドを含む1MHzから60MHzまでの帯域を観察すると、期待むなしく、数あるSWRの落ち込みはあまり深くない様子。

EFHWのベースバンド（半波長）を想定した7MHz帯は、取り付く島もありません。

1.0MHzから10MHz
4.60MHzでSWR1.9　7.03MHzでSWR30.9

8.0MHzから16MHz
12.76MHzでSWR2.3

10MHz帯・14MHz帯の近くで、SWRの落ち込み（12.76MHzでSWR2.3）が見られます。

18MHz帯の近くで、SWRの落ち込み（16.8MHzでSWR1.09）が見られます。
なお、21MHz帯は、内蔵アンテナチューナーで整合無理っぽい様子。

16MHzから22MHz
16.8MHzでSWR1.09

22MHzから26MHz
22.4MHzでSWR2.2

24MHz帯の近くで、SWRの落ち込み（22.4MHzでSWR2.2）が見られます。

26MHzから30MHz
28.6MHzでSWR1.8

48MHzから56MHz
53.2MHzでSWR2.3

50MHz帯の外れでSWRの落ち込み（53.2MHzでSWR2.3）が見られます。

令和5年（2023年）9月9日（土）

作例はトロイダルコアにエナメル線トリファイラの8ターンですが、同軸芯-アース側の一次巻き線が8ターンに対し、同軸芯-アンテナ線側に9ターン（×2）巻いています。

まあ、不出来でもインピーダンス変換トランスには違いなく、これでアンテナのSWRを測ってみます。
（網カゴのトロイダルコイルは外し、大雑把に7Mhz帯1／4λ相当の総ワイヤー長で調整してみます。）

アマチュアバンドを含む1MHzから60MHzまでの帯域を観察すると、期待むなしくSWRの落ち込みが見られません。

SWRの代わりに、スミスチャート上に描く曲線（緑色の線）が実軸と交差する点で、その周波数（MHz）と抵抗値R（Ω）を測ってみます。
7MHz帯は、7.03MHzでR：981Ω

1.0MHzから10MHz
7.03MHzでSWR32.3　R：981Ω

8.0MHzから16MHz
14.0MHzでSWR10.9　R：530Ω

16MHzから22MHz
21.3MHzでSWR9.8　R：493Ω

22MHzから26MHz
24.9MHzでSWR6.2　R：7.9Ω

26MHzから30MHz
27.8MHzでSWR6.1　R：306Ω

48MHzから56MHz
51.3MHzでSWR13.9　R：3.6Ω

9：1 UNUNを介して無線機内蔵のアンテナチューナーで整合させる目論見とは程遠い状況です。
試行錯誤、まだまだ続きます。

令和5年（2023年）10月19日（木）

前回の自作UNUNを解体する前に、少し手直ししてアンテナの整合を調べます。

同軸芯-アース側の一次巻き線が8ターン、同軸芯-アンテナ線側が9ターンです。

はじめは、延長アンテナ線とトロイダルコイルの接続を外した状態です。

アマチュアバンドを含む1MHzから60MHzまでの帯域を観察すると、前回同様にSWRの落ち込みが見られません。

SWRの代わりに、スミスチャート上に描く曲線（緑色の線）が実軸と交差する点で、その周波数（MHz）と抵抗値R（Ω）を測ってみます。

7MHz帯は、7.16MHzでR：1.15kΩ。ベースバンド7Mhz帯1／4λ相当の総ワイヤー長より若干短い長さで試していますが、相変わらず取り付く島なしです。

1.0MHzから10MHz
7.16MHzでSWR23.9　R：1.15kΩ

8.0MHzから16MHz
11.2MHzでSWR21.1　R：2.36Ω

14MHz帯・18MHz帯・21MHz帯は、内蔵アンテナチューナーで整合無理っぽい様子。

16MHzから22MHz
16.3MHzでSWR13.4　R：673Ω

22MHzから26MHz
22.6MHzでSWR7.8　R：394Ω

24MHz帯・28MHz帯も同様に、内蔵アンテナチューナーで整合無理っぽい様子。

26MHzから30MHz
27.6MHzでSWR13.7　R：3.6Ω

48MHzから56MHz
52.6MHzでSWR2.8　R：141.9Ω

50MHz帯で、わずかにSWRの落ち込み（52.6MHzでSWR2.8）が見られます。

ついでながら、延長アンテナ線とトロイダルコイルの接続した状態で計ってみました。

アマチュアバンドの外れでSWRの落ち込みが見られますが・・・。

7MHz帯は、7.12MHzでR：1.03kΩ。相変わらず取り付く島なしです。

1.0MHzから10MHz
7.12MHzでSWR20.6　R：1.03kΩ

8.0MHzから16MHz
14.5MHzでSWR10.3 R：509Ω

14MHz帯・18MHz帯・21MHz帯は、内蔵アンテナチューナーで整合無理っぽい様子。

16MHzから22MHz
17.4MHzでSWR8.7　R：437Ω
20.6MHzでSWR9.0　R：450Ω

22MHzから26MHz
24.3MHzでSWR5.3　R：266Ω

24MHz帯・28MHz帯も同様に、内蔵アンテナチューナーで整合無理っぽい様子。

26MHzから30MHz
27.2MHzでSWR12.2　R：4.0Ω

48MHzから56MHz
51.5MHzでSWR3.0　R：153Ω

50MHz帯も同様に、内蔵アンテナチューナーで整合無理っぽい様子。

4：1 UNUNを介して無線機内蔵のアンテナチューナーで整合させる目論見とは程遠い状況です。
試行錯誤、まだまだ続きます。

令和5年（2023年）10月24日（火）

前回、自作UNUNのエナメル線の巻数を変えて、アンテナの整合をみました。同じことを、前々々回のEFHWでも試してみよう・・・

同軸芯-アース側の一次巻き線が4ターン、同軸芯-アンテナ線側が27ターンです（28ターンなら、前々々回のUNUN相当のインピーダンス変換）。

延長アンテナ線と網カゴのトロイダルコイルを接続して（大雑把7MHz半波長）測定。

アマチュアバンドを含む1MHzから60MHzまでの帯域を観察すると、前々々回よりSWRの落ち込みが見られません。インダクタンス（紫色の線）がまた違ったグラフを描いています。

1MHzから10MHz
5.3MHzでSWR3.0　R：16.6Ω
6.0MHzでSWR32.2　R：1.35kΩ

8.0MHzから16MHz
12.8MHzでSWR2.3　R：89.96Ω

14MHz帯・18MHz帯・21MHz帯は、内蔵アンテナチューナーで整合無理っぽい様子。

16MHzから22MHz
17.4MHzでSWR1.3　R：66.7Ω
18.4MHzでSWR10.1　R：505Ω

22MHzから26MHz
23.2MHzでSWR1.8　R：31.4Ω

24MHz帯・28MHz帯も同様に、内蔵アンテナチューナーで整合無理っぽい様子。

26MHzから30MHz
28.0MHzでSWR3.2　R：18.7Ω

48MHzから56MHz
48.5MHzでSWR1.9　R：75.1Ω

50MHz帯も同様に、内蔵アンテナチューナーで整合無理っぽい様子。

UNUNのエナメル線の巻き数を増やして顕著な変化。ベースバンド7Mhzの整合ポイントはいずこ。
試行錯誤、まだまだ続きます。

令和5年（2023年）10月29日（日）

自作UNUN個々に測定結果が変わるとか、このアンテナの素性はどうなんだ？…、ということで同軸コネクタを加工して、同軸ケーブルをアンテナ線に直結してみます。なお、室外機固定アングルの埋め込みボルトは、接地に使います（室内外機と切り離したコンセントのアース端子と導通状態）。

同軸ケーブルの室内引き込みで、コモンモードチョークはそのままに測定。

はじめは、延長アンテナ線とトロイダルコイルの接続を外した状態です。

アマチュアバンドを含む1MHzから60MHzまでの帯域を観察すると、インダクタンス（紫色の線）がまた違ったグラフを描いています。

7MHz帯（付近）は、UNUNを接続したとき程大きなインダクタンスの変化はみられません。

1MHzから10MHz
6.89MHzでSWR8.9　R：438Ω

8.0MHzから16MHz
10.2MHzでSWR40.6　R：1.23Ω

18MHz帯（付近）に、UNUNを接続したときに現れなかった大きなインダクタンスの変化がみられます。

16MHzから22MHz
17.9MHzでSWR20.2　R：1.01kΩ
21.1MHzでSWR9.4　R：470Ω

22MHzから26MHz
24.9MHzでSWR19.3　R：3.8Ω

24MHz帯・28MHz帯は、インダクタンス、レジスタンスとも大きな変化はありません。

26MHzから30MHz
28.6MHzでSWR19.2　R：2.59Ω

48MHzから56MHz
50.0MHzでSWR2.15　R：25.4Ω

50MHz帯は、ごく狭い範囲で内蔵アンテナチューナーで整合しそう。

次いで、延長アンテナ線と網カゴのトロイダルコイルを接続して測定。

アマチュアバンドを含む1MHzから60MHzまでの帯域を観察すると、似たようでまた違ったインダクタンスのグラフを描いています。

7MHz帯近くのインダクタンスの変化に加え、その低周波域でSWRの落ち込みがみられます。

1MHzから10MHz
4.2MHzでSWR1.8　R：35.1Ω
6.9MHzでSWR7.9　R：363Ω

8.0MHzから16MHz
15.6MHzでSWR6.1　R：304Ω
15.8HzでSWR1.7　R：33Ω

14MHz帯・18MHz帯・21MHz帯は、内蔵アンテナチューナーで整合無理っぽい様子。

16MHzから22MHz
18.0MHzでSWR17.0　R：848Ω
19.9MHzでSWR15.4　R：771Ω

22MHzから26MHz
24.3MHzでSWR1.2　R：56.3Ω

28MHz帯は、インダクタンス、レジスタンスとも大きな変化はありません。

26MHzから30MHz
28.5MHzでSWR17.7　R：2.81Ω

48MHzから56MHz
49.2MHzでSWR2.6　R：19Ω

50MHz帯も同様に、内蔵アンテナチューナーで整合無理っぽい様子。

UNUNの接続と比較していろいろヒントは得られるのでしょうが、知識不足ゆえ方向が定まりません。
試行錯誤、まだまだ続きます。