「万博のチケット買うから、いつがいい?」 大阪・関西万博の開幕“1週間前”に、妻が前売り券を買いにJTBに行きました。そこで来場日時を予約するとのこと。開幕直後と5月の連休前後の混雑は避けたく、この日の9時入場を決めました。
開幕までネガティブな話題が色々取り沙汰されて、世紀の祭典に私自身いまひとつ乗り気でなかったのですが、(先の大阪万博に幾度も行った)積極的な妻に釣られた格好です。
行くと決まれば、いつものように旅行計画を立てて準備します。
ここまでは、自宅のパソコンを使って簡単にできました。
問題はスマートフォン・・・
万博公式アプリが旧いAndroid端末には非対応です。
まぁ、インストールできなくても公式Webサイトから都度ログインすれば事足りそうです。 が、パソコンで最初にIMAPでないメールアカウントを使って万博IDを登録したため、(会場で)メールによるログイン認証(ワンタイムパスワード)ができません。
・・・ということで、当日予約はなし。予約できたパビリオンは、7日前抽選・3日前空き枠先着で、アラブ首長国連合館とオーストラリア館でした。
会場最寄りの夢洲駅から東ゲートは、開場時刻(9時)前に入場者の長い長い待ち行列ができます。さらに入場時の手荷物検査が重なって、入場するまでが(時間が掛かって)大変です。
万博開幕後の動向をみると、朝8時ごろにはすでに多くの人がターミナル駅周辺に到着し始めています。
なので、前日までに準備万端整えて早朝に自宅を出発し、東ゲートの最前列に臨みます。
会場の最寄りの夢洲駅から東ゲートへ
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大阪・関西万博 東ゲート 開場前の誘導
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東エントランス 開場前の待機
開場からすぐ入場できました。大屋根リングに向かう途上、三菱未来館が呼び込みしています。まだ予約が少ないのでしょうか。所要時間をスタッフに確認して、展示内容は知らずに入館。
宇宙から地球を俯瞰し、未来の火星探査・開拓までを描く物語でした。シアターの迫力ある音響と映像を堪能。次世代の万博あたりで、火星の生命(の痕跡)が発掘・展示されること期待したい。
三菱未来館
幸先よいスタートです。要予約が大半の日本のパビリオンですが、先着順・自由入場のものは、朝一番に東ゲートから駆けつけてみるのも一手です。
大屋根リングへ向かう人々
10時予約間際にアラブ首長国連合館に到着しました。この時間帯は待ち行列なく、予約なしでも観覧できました。
天然素材を活かした巨大な柱の空間に吸い込まれます。
アラブ首長国連合館
火星探査ミッションの展示
火星探査衛星は、コロナ禍の最中、三菱重工のH2Aロケットで種子島から打ち上げられ、火星軌道に到達しました。
茫洋と広がる砂漠をイメージしても、地域ごとに砂(地質・鉱物)に違いがあるそう。
砂漠の砂のサンプル
エキゾチックな沈香とポット
次の予約は11時45分。それまでの間、通りに沿って空いているパビリオンを順にみて回ります。
外周全面ロープを垂らしたポルトガル館。古く日本と交易があった時代の、帆船のロープを想起しました。ポルトガル語由来の日本語が、暮らしの中に溶け込んでいます。
ポルトガル館
記念スタンプ
その次はトルクメニスタン館。
入口で立派な肖像画のお出迎えを受け、ホール大画面の煌びやかな映像に目を見張って、1階フロアの展示品・土産物を見て、そのまま出口から退館。
トルクメニスタン館
押しの強さと煌びやかさに没入する
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えっ!これでおしまい?
…上階の展示フロアの入口に気づきませんでした。残念。でも、滅多に紹介されない異境の地が垣間見えてよかった。
牧羊犬アルアバイのタペストリー
北欧館は十字の国旗が並んで掲げられ、出展が一目でわかりよいです(どの旗がどの国かは、後で調べます)。ホール中央に幾枚もの紙のスクリーンが円環に吊り下がり、北欧の風物が映し出されています。椅子に座ってしばらく眺め、休憩しました。
土産物のムーミンのマスコットが、昭和の子供世代には懐かしい。
北欧館
円環に下がるスクリーン
マルタ館では、ホールの映像を見て、宮崎駿のアニメ映画『紅の豚』の1シーンを思い出しました。
マルタ館
伝統工芸品
伝統衣装のアート作品
世界遺産のラグーン
マルタテーブルに寄って、ジェラートを注文し休憩しました。
ジェラート
美麗なボヘミアンガラスを全周に纏ったチェコ館に入場待ちします。隣のシグネチャーパビリオンが、時折クジラの鳴き声のような音を響かせ、銀の外装パネルを震わせています。
待ち行列の先頭まで順番待ちが進んだとき、予約待ちで待機中の外国人ツアー客がまとまって入館しました。チェコ館の退出予定が当初の予想より遅くなったので、ボヘミアンガラスのらせん廊下の展示を急ぎ見て回ります。
チェコ館
ガラス工芸
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屋上のレストランは、長い待ち行列ができる人気です。屋上からの景色を楽しんで終わりにします。
チェコ館の屋上展望
オーストラリア館まで会場内を急いで縦断します。会場地図を参照しても、人通りとパビリオン入口を見定めて行動しないと、最短ルートを見失います。
11時45分の予約時刻にギリギリ到着。長い待ち行列とは別の並び口から入場。時短の有難さ。
薄暗いユーカリの森が神秘的な雰囲気。ユーカリの幹の肌は、サルスベリのようにすべすべ。ユーカリの樹上で暮らすコアラは無問題なんだ。
ユーカリの森
世界遺産の珊瑚礁
続くフロアは、天まで連なる(見上げる)高精細大型液晶パネルの映像美。オーストラリア(観光)の魅力がたっぷり・目くるめく映し出され、しばし没入感に浸ります。
記念スタンプ
オーストラリア館
カンガルーやコアラがお出迎えする野外ホールを備えたオーストラリア館は、記念スタンプの置き場所が外にありました。
大屋根リングの下のベンチで昼食にします。お弁当は自家製おにぎり(梅)。本日はヨルダンのナショナルデーだそう。イベント情報は未チェックでした。
午後のパビリオン観覧は、開幕時工事中だったバーラト(インド)館。入場待ちの間、入場口のスピーカーからインドの流行歌(?)が流れ(聴かされ)続け、賑やかです。くるくる回る糸車のモニュメント、涼しげな水辺にあって水車に見える。
バーラト(インド)館
入口で入場待ち
インドの伝統工芸と最新の科学技術の展示を見て回ります。
テラコッタ・インスタレーション
独りでに動く玉が砂上に花びら模様を描く
アトラクションは(当節流行りの)AIを使った画像生成。テーブル席に座ってタブレットと対面し顔写真を撮って、インド人に(風貌もろとも)変身する遊び。若い女性の方が面白がっている。
鉱物の標本と月探査機
絨毯
開幕前にネット上で物議をかもした“石のパーゴラ”、見に来ました。恒久的な施設でもなく、見た目不安を覚えず、でした。
石のパーゴラ
博覧会場で一際異彩を放つGUNDAM(高さ制限の片膝立ち・“実物大”)モニュメント。テレビアニメ初放映の同時代から、もう還暦過ぎ。大人気のパビリオンを遠巻きに眺め、感慨に耽る。
GUNDAM
ミャクミャク
万博会場内のお買い物は、(ほぼ)すべて電子マネー。ICOCAに上限一杯に現金チャージして臨みました。ミャクミャクをあしらったICOCAをお土産にと思いましたが、早々に売り切れでした。
会場の西端に気になるパビリオンがあって、“徒歩”で向かってみましたが…いや、遠いって。西ゲート前のベンチで萎えて休憩します。
目の前を、小学校の生徒たちが先生に引率されてやってきます。しっかり学んできてね…とばかり、人生で2度、国際博覧会が体験できそうな世代を見送ります。
西ゲート
パビリオン“遠征”はやめにして、大屋根リングに戻りました。
ベルギー館の入館待ちが早く捌けそうなので行列に並びました。
エントランスの庭 縦糸を伝わる雫に見とれる
展示内容は医薬関係がメイン。ベルギーは欧州のワクチン生産拠点(の一つ)。先のコロナ禍で、本邦もお世話になりました。
医薬品の使命…のような展示
ベルギー館のスイーツも人気です。屋上のレストランは順番待ち、なので眺めを楽しむだけにします。
ベルギー館 屋上からの眺め
コモンズ館Dに入ります。国際博覧会は現地の“イチオシ”が一堂に会し、世界旅行の気分で一気に楽しめます。コモンズ館は、限られたスペースに見どころが凝縮されています。
タジキスタン・ブースのフェドチェンコ氷河のジオラマ。極地にない氷河で最長のものだそう。氷河の末端に暦年のピンが立ち、その伸長を示しています。
タジキスタン フェドチェンコ氷河の模型
パレスチナ オリーブ木彫り細工
先の報道関係の内覧会で、展示品が無かった(戦時下の)パレスチナ・ブース。キリスト生誕のオリーブ木彫り細工がありました。
コモンズ館Dの中で待ち行列のできるパキスタン・ブース。特産の岩塩で造作したインテリアがとにかく“写真映え”です。
パキスタンの岩塩
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ブータンの仏壇
華やかな装飾が施されたブータンの仏壇。仏壇は寺院のミニチュアとか、古より伝わる仏教様式の仏壇を見て何か納得。
アフリカン・ドラムがそこかしこの展示ブースにあって、現地のスタッフが来場者と即興で演奏しています。素人には難しいジャングル・スィングです。
赤道ギニアのマスクとドラム
マーシャル諸島のスティックチャートを眺めていたら、スタッフの方が解説してくれました。古の航海(海図)を形にした知恵、すごいです。
マーシャルの帆船
スティックチャート
1時間かけて、コモンズ館D(25ヵ国)出展ブースを全部見て回りきったつもりでしたが、後で記念スタンプを確認すると2ヵ国見逃しがありました。残念。
時間も押して、本日観覧したい最後の海外パビリオンは、ポーランド館です。
ポーランド館
花束を画面操作でアレンジする趣向のアトラクション。揺らめく花束の図柄が、タンパク質の立体構造の模式図にも似て不思議。
揺らめく草花の束
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草木を封入したガラスの瓶玉
草木を封入したガラスの瓶玉、木版の壁を円くはらうブラシ楽器、展示物が壁一面に並んで動く様子は見ていて飽きません。
ブラシ楽器
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伝統工芸品の装飾(Pająki)
PCゲーム産業も一角。同国発祥の人気タイトルがジオラマ模型になって展示。
医療技術の展示もあって盛りだくさん。
医療技術
生命工学とナノテクノロジー
ミニシアターのホールにYAMAHAのグランドピアノが備わり、ショパンのピアノコンサートもあるとか。
そろそろ帰り支度。帰り道の通りに欧州連合館があって待ち行列なしだったので立ち寄りました。
観葉植物の葉に触れて揺らすと、ディスプレイに何やらメッセージが表示される展示。
欧州連合館
ロボットアームが描く枯山水
砂の展示台にロボットアームがレーキを使って描く“枯山水”。島を上手く避けて描くところが、芸の細かさ。
最後は大屋根リングに上って、景色を眺めます。
大屋根リングのお花畑
季節のお花畑が目を楽しませてくれます。
アルメリア
ナデシコ
名前の知らない花は、後で画像検索。
ムギセンノウ
オルラヤ
一日中歩き回り、お腹が空いてきました。
大屋根リング近くのフードコートを見つけ、かつサンドをテイクアウト。大屋根リング下のベンチで休憩、小腹を満たして少し体力回復しました。
大屋根リングから大阪湾の眺望
大屋根リングの回廊
フードコートの近くに赤い西陣織ドームが目を引くパビリオン、入場待ちも少なそうだったので立ち寄りました。産・学の共同出展です。大学の研究テーマは人工光合成技術。二酸化炭素(と水)からギ酸を作るのだそう。脱炭素・水素エネルギー社会まであと少し?
飯田GHD・大阪公立大学共同出展館
西陣織ドームの中に未来の都市
もうひとつのフードコートに「青森ねぶた」が飾られていました。観光地の混みあうお祭りとは疎遠ですが、かねてより見たかった「青森ねぶた」、細部まで精巧に造りこまれた作品を目の当たりにし、感銘を受けました。
青森ねぶた
もう一度大屋根リングに上がり周遊、一つ上の段の芝生広場に向かいました。
天気は快晴、昨夜の雨で大気は澄み渡り、りんくうゲートタワー(関西国際空港)、明石海峡大橋まで望めました。
大屋根リング 芝生広場
会場俯瞰 展望よし
大屋根リングからパビリオンを俯瞰。韓国館の巨大な映像パネルは、かつて本邦で振るわった大型液晶パネルの生産を(価格競争の末)駆逐した隣国の威信かも。国際博覧会は栄枯盛衰の見本市? 次世代の万博で存在感を示すのは何だろう。
韓国館 巨大な映像パネル
日没前の夕陽が大屋根リングの柱・梁を照らし、会場内は日暮れの陰。
昼間に比べ、会場内を縦横に往来する観客の姿が減り、人気のパビリオンに長い待ち行列がいまなお続いています。
夕陽が映える大屋根リング
年齢を重ねると、長時間の行動はしんどいです。ここは無理せず、早めに帰ります。午後6時に退場。
東ゲート 早めに・混まず・退出する
本日の万歩計歩数は、2万3千歩。来場者数9万1千人。平均気温16℃。すこぶる快適でした。
予備知識なしで思いの外、楽しめました。もう一度来よう。