赤道儀の赤緯軸回りにバランス・ウエイトを取付けます。
経緯台を使った天体観測を始めてみて、星の動きを自動で追える赤道儀が欲しくなりました。いろいろ思案し、ネット・ショップで調達した赤道儀は、赤緯軸ヘッドが上位機種流に改造されたものです。
経緯台と同じアリミゾを取り付け天体望遠鏡をセットし、赤緯軸のクランプをフリーにすると、対物レンズの重みで鏡筒が前下がりになります。
接眼レンズ側に延長筒とアイピースをセットし、ドローチューブを長く繰り出すと、鏡筒は後下がりになります。この状態で鏡筒の前後重量バランスをとるには、対物レンズ側に(1.9Kgの)バランス・ウエイトを必要としました。
赤緯軸をフリーにし、バランス・ウエイトを吊り下げる
ふつう、鏡筒の前後重量バランスをとるには経緯台のアリミゾに組み付ける鏡筒のアリガタを前後にスライドして固定します。 が、ここでは(嵌め合わせて)スライドできないアリガタを使うので何か工夫が要ります。
・・・で、工夫を形にしたのがこちら ↓
赤緯軸回りのバランス・ウエイト
赤経軸回りのバランスをとる方法を流用した赤緯軸ヘッド。
バランス・シャフトを赤緯軸に直交して取付け、そこにバランス・ウエイトを通します。
バランス・ウエイトを赤緯軸に取り付ける部品は市販品に見当たらなかったので自作です。
赤緯軸のバランス・シャフト取付け部品
バランス・シャフト取付け部品は、インターネット・ショップから調達できそうな材料を基に、赤道儀の現物合わせでイメージ図を描きました。
ラフなスケッチで設計する
取り揃えた材料は
アルミの不等辺アングルは電動ドリルでボルト穴加工します。素人工作でも精度よく位置決め・加工しないと、部品の組付けができません。また厚板アルミ材料の加工中に、ドリルやタップを折損させないよう注意が要ります。
ハンド・ドリルで垂直に穴あけ加工する
素人には難度高めの軽金属加工でしたが、無事(?)完成。
バランス・シャフト取付け部品(全部)
天体望遠鏡をセットすると、機能的にまとまった感じです。
なお、ステンレス・シャフトの重みが加わり、1.9Kgのバランス・ウエイトでは、アイピースに対してフロント・ヘビーでした。替わりに軽量(1.0Kg)のバランス・ウエイトを調達しました。
赤道儀が運用できる構成になりました
アイピースより重い一眼レフカメラでは、いい塩梅にバランスしてくれます。後でカメラ側にフラットナーやバローレンズを追加しても、いけそうな予感。
アイピースに替え一眼レフカメラをセットする
鏡筒をアリミゾに固定したまま前後バランスが微調整できることと、(嵌め合わせのアリガタで)対物レンズを天頂に向けても、鏡筒が不用意に滑り落ちる惧れがないのがメリットです。
赤道儀を箱に収納するときは、取付け部品そのままに後ろへ半回転します。不等辺アングルと赤経軸本体とのクリアランスは1mmもありません。
収納時は取付け部品を後ろに向ける
赤道儀が運用できる構成になりましたが、もう少し手直しが要りそうです。
ファインダーの再調整と合わせて、一眼レフカメラの直焦点撮影を試しました。フラットナーを併用しピントが合った状態で、ドローチューブの繰り出し量はそれ程長くありません。
カメラ搭載時のバランス・チェック
1.9Kgのウエイトは調整範囲内でぎりぎりバランスしましたが・・・。
これ、アカンのとちゃう?
赤経軸本体に接触しそうな1.9Kgのウエイト
ここで致命的な欠陥に気づきました。
鏡筒を水平から少し下に向けると、バランス・ウエイトが赤経軸本体と接触します。
1Kgのウエイトでは赤経軸本体との接触は回避できますが、設計段階で気づかなかったのは何とも不細工でした。
1Kgのウエイトでバランスをとる
カメラをアイピースに替えてバランスをとった場合も、鏡筒を下に向けるとウエイトが赤経軸本体と接触します。欠陥は即時是正、シャフトの取付け部品を作り直すことにしました。
対物レンズが空を向く限り不具合はないけれど…
シャフト・ホルダのボルト穴を11mm鏡筒側に寄せ、アングルの端を4mm削ります。
ついでに、シャフトを赤道儀付属品の延長シャフト(100mm長、M6ネジ穴付き)に取り替えてみます。
アイピースをセットしバランスをとる
シャフトの自重が鏡筒の前後バランス調整に与える影響は、赤緯軸ヘッドが滑らかに動くだけあって、なかなか微妙です。対物レンズ側の重量増には、延長シャフトを継ぎ足すなどで対応してみます。
作業終了、赤道儀をぐるぐる軸回してみる
これで万事オーライかと思ったのですが、まだ不具合が残っていました。鏡筒が西側南向きで対物レンズが下に動くと、ウエイトが赤経軸クランプに接触します。赤緯軸クランプを緩めたままアイピースを取り替えるなど、鏡筒を不用意に動かさないよう、取り扱い操作に注意が必要です。